雑誌 NAVI 1991年8月号
色気がある。機械と対話しているような実感がある。旧くたって、いいものはイイ。
(P.40)
巻頭特集 スポーツカーに乗ろう、と思ったりして
スポーツカージャイアントテスト
風を切って1200km 現代オープンスポーツカー4台を徹底評価する
このテストに登場する車種は以下のオープンカー4台。
アルファロメオ スパイダー・ベローチェ(Sr.4)
ロータス エラン
TVR S3C
ユーノス ロードスター V スペシャル
テスター
斎藤浩之(チーフテスター)
今尾直樹
宮川章
陶山拓
岡小百合
森慶太
アルファロメオ・スパイダーベローチェは、量産メーカーによる量産技術で生み出されたスポーツカーという点ではユーノスと共通している。けれども、その骨格を規定している技術は、まんま60年台のそれである。P.39
伝統のオールアルミ・ツインカム・ユニットにはボッシュの最新式モトロニック(点火と燃料噴射の総合電子制御装置)が組み合わされ、日常的な扱いやすさを向上を図っている。P.39
STAGE-1 高速道路篇 スポーツカー度 第2位
高速巡航でのスポーツカー度という観点から評価。
枠内はハードウェア評価。
アルファは1269km走行。総平均燃費は、11.2km/L と最良を記録。高圧縮比と中速トルクが効いたのだろう。無鉛ハイオク使用。
なんたって美意識だけで造形されたスタイリング。これだけでも買いだ。スクリーンが立っているから、コクピットには「外と近い!」という実感があるし、ウィンドウ越しには2本の悩ましい脚のような峰も見える。
マイナス点は低いボディ剛性。大きな目地段差では”ガタッブルブルッ”と、Aピラーとドア・ウィンドウフレームの隙間が変化する程の強烈なスカットルシェイクが襲う。大きなサスペンション・コンプライアンスは必然。計器の視認性、スイッチ類の操作性は悪い。
排気音、ソフトな乗り心地を美点として挙げられていますが、スタイリングに関する評価が中心になっています。P.40
STAGE-2 山道屈曲路篇 スポーツカー度1位
全身からウロコが20枚は落ちた。「ガッつくな、俺に任せておけ」と言わんばかりに舞う。
しっとり素直なハンドリングを隠し持っているスパイダー。前後重量配分は前54:後46。66年デビューの古典にして、アルファの面目躍如。
コーナー途中でスロットルを開けてもフロントが逃げない。LSDが入っているというが、確かにトラクションも逃げない。リジッドアクスルも贅沢な設計とコンストラクションを採れば、いいもんだなァとしみじみ思う。そう、感慨に耽りながらコーナリングを楽しめるのだ。こういうコンセプトだってあったのだ。ユラユラだっていいじゃないか。
高速道路や街中であまり意識する必要はないが、アルファ・スパイダーのサスペンションはスプリングがめいっぱいソフト、かつ、コンプライアンスもフラフラになるほどある。加えて、前後トレッドは頼りないほどに狭い。エンジンがレスポンスに秀でているわけでもない。だから、これは山道へ行くと辛いかなと想像しがちだ。が、驚いた。何の苦もなく曲がる。
アシスト付きで軽く、滑らかな感触を示すステアリングを丁寧に切り込んでいくと深々とロールして、切ったら切った分だけ、呆気ないほど素直にノーズは向きを変える。ロール姿勢が見事。外側前輪にのしかかるのではなく、フロントに合わせてリアもいっそう沈み込むバランスの良さを見せる。
かといって内側が伸びきるような不安定な挙動にはならない。機敏というのとは違うから、コーナーの中でステアリングをソーイングしたりする運転方法には向かないが、スーッと舵角を増やす方向で、丁寧に追い込めば、充分速い。
スパイダー特有のロールさせるコーナリングが評価されています。
マイナス点としてはブレーキが挙げられ「オーバーサーボ」「初期ストロークがやたら長い」と指摘されています。
付録 スポーツカー・ジャイアントテスト参加スタッフの個人的選択
私が乗るならコレだ
このコーナーでは5人のテスターの感想が寄せられています。
とくにたまげたのがワインディングでの走り。60年台のジュリアそのものの足のくせに速いし、コントロールもしやすい。コーナーリングは入り口でスッとロールしてからは非常に安定して、どんどんアクセルを踏んでいける。
優れた重量配分とロードホーディングが、実にニュートラルなハンドリング特性をもたらしてくれるのである。運動神経は悪くない。加うるに、過度なキックバックを伝えない繊細なタッチのステアリング(パワーアシスト付)を操るのも、それ自体喜びのともなう行為だ。
新車番付
巻末には新車情報が掲載されています。
このコーナーではコメントのほか、
★マークによる3段階と備考として天気のマークで評価されています。
晴れマーク(なにやら光るところあり)
曇りマーク(平凡にして退屈)
◯=ツインカム+FRオープンという3拍子におまけしてアルファであること。
×=見た目ほどスポーティじゃないこと。
★☀高すぎるユーノス・ロードスター
競合車であるロードスターと比較され価格がマイナスとして挙げられています。
そのほか、新車情報ではオープンカーではユーノス ロードスター、ホンダ ビートも掲載されています。
ホンダ・ビートに関してはNAVI TALKというコーナーにて徳大寺有恒氏、館内端氏、大川悠氏3名がP.85からP.90にかけて評価、対談をしています。
二玄社
1991年(平成3年)8月1日発行
定価680円
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